☆学生寮について☆


「それでは寮の説明は、現・寮生であるわたくし巴萩乃と」
「……狩谷東で」
「なんですの、東! 嫌そうな顔をして!」
「話が逸れるから、その件は後回しにしよう。今は、寮の説明だろう」
「そうですわね、よろしいですわ、今はそうしておきますわ。
 それでは、寮について、ですけれど。まず、星火学園は全寮制ではありませんわ」
「学園は生徒数が多い。あの人数をすべて収納する建物は校舎だけで充分だ」
「ですから、寮に入るにはそれなりの理由が必要ですの。家が遠いとか、家族が海外だとか、そういったものですわね。一般的には」
「そして、当たり前だが、男子と女子で違う建物だ。どちらも異性は立ち入り禁止、ということになっている」
「ロビーに入るくらいはかまわないと思うのですけど。この歳になったら、なにがあっても自己責任ですわよ」
「……無責任なことを言うもんじゃないぞ」
「無責任だなんて、失礼ですわね。わたくしはきちんとできます」
「学園の全員が萩乃じゃないんだ。そういうことだ」
「……わかりましたわ。どうもさっきから話がそれてしまいますわね。
 ええと……そう、寮は1人部屋、2人部屋、4人部屋がありますわ」
大部屋の方が値段は安い。金銭面を重視するのなら、そのほうがいいかもしれない。気が合わない人間といる、という事態にならなければ、の話だが」
「ちなみにわたくしは、1人部屋ですの」
「俺は4人部屋だ。……金銭面といえば、星火学園奨学生、という制度がある。奨学生になると、寮は理由がなくとも入れるし、料金も無料だ」
「あら、そんな制度がありましたの? 知りませんでした……」
「それと、寮の門限は10時だ」
「これを過ぎると寮に入れませんの。今時、早すぎると思いませんこと?」
「……外泊する場合には、あらかじめ外泊届けを出しておくことになっている」
「無視ですの? ……まあ、よろしいですわ。
 ええ、寮はこんなかんじですのよ。いろいろめんどうな決まりごともありますけど、わりと楽しいところですの」
「わからないことがあったら、きいてもらえれば、わかる限り、答えるつもりだ」
「理解するのに、すこしでもお役に立てたのなら幸いですわ」
「それでは、これで」
「寮生になったら、仲良くいたしましょうね。それでは失礼いたします」


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