とある日曜日のことでした。
巴萩乃は寮の部屋でぼんやりとテレビを眺めていました。
1人部屋なので、チャンネル争いもありません。リモコンを手元に置いて、いろいろいじっていると、ぱっと画面が黄色くなりました。
「まあ」
萩乃はすこし身をのりだしました。
『これでパセリを散らせばできあがりです』
そんな声が流れてきて、映し出されたのは、ふわふわのオムレツです。
食べると中からチーズがとろーり。
「美味しそうですわ……」
チーズも玉子も、萩乃の好物。それが一緒になったチーズオムレツは大好物です。
家にいたころはよくコックが作ってくれましたが、高校で寮に入ってからというもの、美味しい美味しいチーズオムレツには出会っていません。
学食に行ってもあるのはオムライスなのです。
『それでは、材料と作り方のおさらいです』
その言葉に萩乃は「そうですわ!」とひらめきました。
「自分で作ればいいんですわ~!」
寮の調理場は休日に使用してもいいことを、ちゃあんと知っていたのでした。
料理などしたこともないのに、思いつきに萩乃は夢中です。画面に出た材料名を食い入るように見つめ、頭にたたきこみました。記憶力は小さいころから抜群です。
覚えると、テレビを消し、かばんに財布をいれました。
まずは材料を買ってこなくてはなりません。
かばんを手にすると、早速、萩乃は出かけることにしました。
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