プロローグ
かつて地球はゾンダーという侵略者との間に戦端を開いていた。
吸血鬼に血を吸われた者がその配下に。不死者に襲われた者が同じ不死者となるように、彼らは地球上に存在する全ての有機物を、無機物である機械との融合体『ゾンダリアン』として変質させ、侵略していった。
だがこの外敵を退けた者達がいた。
ゾンダーとはまったく逆の性質を持ったエネルギーを生み出すGストーンの導きにより結集した勇者達である。
彼らの活躍により、来襲したゾンダーは地球上からその姿を消した。しかしそれで全ては終わりではなかった。ゾンダーが進化した機界新種『ゾヌーダ』と呼ばれる存在があることがわかったのだ。
ゾヌーダの行う『物質昇華』は、どのような状態においてもエネルギー励起することのない超安定物質へと変質させることを指す。この安定物質は、一切の化学変化も状態変化(固体→液体→気体)も起こさない特性を持つため、物質昇華された世界は、例え五六億七千万年という時間経過の果たとしても、生命を生み出すことすらないのだ。
何も思わず、何も考えず、ただそこに在るだけの存在に変異させる。そんな究極の『死』を与えることが、機界新種ゾヌーダの存在理由なのである。
そんな存在が、ゾンダーが突然変異を起こした個体であると断言することは出来ない。
今この瞬間にも、物質昇華という魔の手にさらされ、窮地に追い込まれている星々があるかもしれない。そんな星々に救いの手を差し伸べるべく、少年は立ち上がった。
少年の名は天海護。
ゾンダーとの大戦時に、勇者達ともに戦った、溢れんばかりの勇気を持った少年である。
そして彼は今、全ての始まりの地である、そこにいた。
三重連太陽系。
すでに機界昇華により滅び去った赤の星の上に。
物語はここから始まる・・・。
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