[132]
ふてくされ組より愛を込めて。
椿春夫 高等部 3−D
「なー椿。今日何の日か知っ」
知らない知らない知らないああああ(耳を押さえて机に突っ伏す)
「モテない君は哀れだね〜」
うっせボケ!
テストにもルックスにも人生にもチョコにも余裕かましてる野郎はどっか行けつーか頼むから消えてうせろ。
あ〜もう!あ〜もう!
(机をばんばん叩きながら)ったく都立大の二次試験さえなけりゃこの呪われた日に学校来なくてすんだのによぉ……
聖バレンレインのばかやろー! お前など死んでおしまい!
「つーかバレンタインとっくに死んでるし。
おいおいどーしたよ。いつものお前らしくねーじゃん。
いつもならご近所さんとか先輩がチョコくれたんだろ?」
テストが人格を荒廃させたんだよ!
フフフ……いつも明るくラヴリーな椿君がこんなになっちゃうなんて。
ほら、目にクマがこんなに。いやだわぁ。
もう、ワタシだめみたい。笑いたければお笑いなさい
「アハハハ」
笑うなボケチン(ガン、と脛を蹴る)「痛って〜!」
あ〜もう!あ〜もう!
入試怖っ! 高校三年怖っ! チョコ怖っ! 椿、悶絶しちゃう。
「……あのぅ、」
(おずおずと原が話しかける)
「椿くん、よかったらね、義理チョコ……。
(椿に話しかけていたクラスメートに)西本君も、
よかったら。はい(ラッピングしたネコ型チョコを手渡す)」
「おぉ! マジで?! 原、サンキューな。
よかったじゃん椿……椿?」
(ぷるぷる震えながら)
ああああああ
もうサイコー! シヤワセ! バレンタインさんダイスキ!
原さん結婚して! マジで!
「え、あの…え?(おどおど)」
「あ〜……気にしないで。
ちょっとコイツ浮かれてるだけだから」
うっし! なんか生きる希望が湧いてきた!
帰りにでも商店街によっておばさんたちにチョコもらって〜、
それからツッキー(文芸部の卒業生)ん家に行って〜、
雅ちゃんからチョコもらって〜、
(途端に生き生きと皮算用を始める)
[本体:森陽]
2/23 18:55