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紙の庇の下で
山田大樹 その他 1-a 中学二年生 身長161センチ 成長期
(四方の柱から伸びた紐で頭上に吊り下げられた、長さ3メートルもの紙細工を見上げる。足元の張り紙には『紙属巨大科カミハヤテ号』とある。)
でかい紙飛行機だなー。よく自重で潰れないな。
骨組み内側に仕込んでるとしても、翼のあたりへたりそうなものなのに。
「よく見てご覧、大樹。風で作品が痛まないように、補正のボール紙が当ててある」
それぐらい分かってるよぉ。俺が言いたいのは、ちゃんと飛ばすつもりで作ってあの形を保ってるってこと。
さっきここの生徒の人に聞いたんだけど、最終日飛ばすらしいよ、コレ。
(下のネットの張られたエリアでは『飛行機投げ放題』の文字)
なんだこれ? スカイフィッシュ型、ナウシカ式多足羽虫型。
(投げる、落ちる)飛ばねーじゃん!! うわ、馬鹿だ!
こんなの高校生が考えることかよー(笑)
……俺、この学校気に入っちゃったなぁ。
「……大樹は公立に進んでくれると、父さんたちとても助かるんだがなあ」
なんだよ、姉ちゃんばっかりズリーな。
学費ならいつか株で大儲けしてまとめて返すよ。
(そらした目の先に見慣れた姿)
あれ? 南雲ん家の未来じゃん。あともう一人、誰だ?
[本体:ともゆき]
11/9 08:22