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回想シーン
氷室遼二 高等部 3-d 剣術部
「お疲れ様」
このパターン飽きたぞ。いまナーバスだから遊んでやれない。
「遊んでもらおうなんて思いませんて。一人じゃ寂しいだろうと思って来てみたら案の定だ」
言ってろバカ。
(受験生の群れのなか、折りたたみ自転車を転がして歩く惇と帰路へ)
(片側三車線の交差点)
あー、赤信号だ……長いな、こりゃ。
「コンビニでココアでも買ってきますよ」
ああ頼むわ。
……そうだな、今日明日くらい休んでもいいか。彼女と遊んだって咎めるやつもおるまい。
いや、何言われたってかまうもんか。
(車の切れ目を待っていたように、路端から中学生くらいの女の子が跳び出す)
な!まだ!?
(後方の角から大型トラックが曲がりこんでくる。少女は、気づいて立ち往生)
……!
……
……
「大変だー!人が撥ねられたぞー!」
「救急車は」「今呼んだ、大丈夫だ」
「おい、この子が突き飛ばした女の子は?」
「え?」「いないの?」
「そこの大学の受験生か?なんてことだ…」
……うるさいな。
なんか、腰が軽い……。
[本体:リュー]
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